人に悩みは付き物です。
仕事の悩みや家庭の悩み、容姿の悩みなど、細かく挙げればきりがないほど人は悩んでいます。
一見、悩みには無数の種類があるようですが、あの有名心理学者アルフレッド・アドラーは言いました。

人間の悩みはすべて対人関係の悩みである
一体どういうことなのでしょうか。
ここでは、すべての悩みが対人関係の悩みとされるワケを解説します。
さらに、その対人関係の悩みの解決方法を紹介します。
- アドラーの言葉の真意
- 人生で直面する3つの課題
- 悩みの解決方法
そもそも人はなぜ悩むのか
まずは、アドラーの前に同じく有名心理学者のマズローが提唱した「欲求五段階説」について触れたいと思います。
欲求五段階説とは、人間の欲求には5つの段階があるとする心理学理論です。
これらのうち、四段階目の「承認欲求」が「悩み」と大きく関わっています。
承認欲求とは、他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求です。
多くの悩みは、この欲求が満たされないことにより生じてしまうのです。
他者から自分がどう見えるかどう思われているかを気にして、自分なりに考えたり行動してみたりするけれど、思ったような反応が得られないときに、人は悩むのです。
「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」の真意
それでは、アドラーの「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」とは一体どういうことなのでしょうか。
これは、人間の悩みを探求していくと、根本的なところはすべて対人関係の悩みに行き着くということです。
お金がないと、他者に迷惑をかけることが辛くて悩む。
病気になると、家族や職場の仲間に迷惑をかけることが辛くて悩む。
老いると、身体が不自由になるにつれて、家族に迷惑をかけ、他者との関わりも少なくなるために悩む。
このように、アドラー心理学では、対人関係により人は悩まされるとされています。
これも結局、「承認欲求」が関係していることなのです。
アドラーは、承認欲求があると他者の幸福を自分の負けであるかのように捉えてしまう、とも言っています。
アドラー心理学ではこれを、劣等コンプレックスといいます。
劣等コンプレックスとは、いわば、理想の自分からの諦めです。
「学歴がないから成功できないんだ」など劣等感をある種の言い訳に使い始めます。
これがエスカレートすると、「もし学歴が高ければ、自分は成功できる」と有能さを暗示するようになります。
つまり、もしもの話を持ち出して、努力することもなく「本当の自分は優れているのだ」と思い込むようになるのです。
これが劣等コンプレックスともう1つの心理状態「優越コンプレックス」です。
こうした劣等コンプレックスや優越コンプレックスは承認欲求から出てくる心理です。
そうした承認欲求を抱えていては、他者の期待を満たすための、自分の人生を歩んでいるとは言えない悩みの多い人生になってしまいます。
承認欲求は悩みの元凶なのです。
対人関係の3つの課題



じゃあ他人と関わらなければ悩まないってことか!
いえ、そんな簡単な問題ではないのです。
アドラーによれば、人生には必ず直面し取り組まなければならない、3つの課題があるといいます。
アドラーはそれらをライフタスク(人生の課題)と呼びました。
ライフタスクにはそれぞれ難易度があります。
仕事のタスクとは、他者との分業にいかに参加・貢献するかという課題です。
最近は在宅ワークが増え、空間的に一人で仕事をする機会が多くなっていますが、パソコン画面の向こう側に会社の人間がいて、ネット上で請け負った案件には必ず発注者がいます。
つまり、現代社会で仕事をする上で、一人で完結する仕事はなく、他者との協力なしには成立しません。
しかし、仕事のタスクは3つのうち最もハードルの低いタスクといえます。
それは、成果という共通の目的があるため、気が合わなくても協力せざるをえない環境にいますし、勤務時間が終わったり、転職などをすれば他人の関係に戻れるからです。
交友のタスクとは、仲間のなかでいかに自分の居場所を見つけるかという課題です。
多くのコミュニティに属すと、いろんな価値観を持った方と出会いますが、その方々とどれだけ深い関係を結べるかが重要です。
友達や知り合いの数が多いのは何の価値もありません。
交友のタスクは、仕事のタスクと愛のタスクを含んだ広義の対人関係といえます。
仕事のような強制力がないだけに、踏み出すのも難しいでしょう。
愛のタスクとは、恋愛関係・親子関係などをいかに築きあげるかという課題です。
愛のタスクが最も難しい課題といえるでしょう。
まず簡潔に伝えることが難しいです。
例えば、友人関係から恋愛に発展したとき、友達だと許せていた言動が許せなくなってしまい束縛をしてしまうことがあります。
具体的には、異性の友達と遊んでいるのが許せない、とかです。
それだけ距離も関係も深くなっているということです。
しかし、アドラーは相手を束縛することを認めていません。
つまり、一緒にいてどこか息苦しさを感じていたり、緊張を強いられるような関係は、恋ではあっても愛とは呼べないということです。
人は、この人と一緒にいると、とても自由に振る舞えると思えたとき、愛を実感できます。
一方の束縛とは、相手を支配しようとする心の表れであり、不信感に基づく考えでもあります。
あなたの悩みの解決方法
人生は課題と常に直面して、対人関係の悩みを乗り越えていく必要があるとわかりました。
しかしながら、その課題に対して前向きなれないから、あなたは悩んでいるのでしょう。
人が課題を前に踏みとどまっているのは、能力の有無ではなく、純粋に課題に立ち向かう勇気がくじかれてしまっていることが問題なのです。
そうであれば、くじかれた勇気を取り戻すことが先決です。
「勇気づけ」をするのです。
「勇気づけ」に大切なのは、お互いの価値観が違うことを受け入れながら、対等な関係を築くことであり、「勇気づけ」はその先にあるアプローチになります。
人は自分には価値があると心から思えたときに、勇気を持つことができます。
それは、評価によって価値を与えるのではなく、純粋な感謝の言葉で勇気づけられます。
人は感謝の言葉を聞いたときに、自らが他者に貢献できたことを知るのです。
その感謝の言葉から、自らの主観によって「私は他者に貢献できている」と思えること。
その実感を与えるのが純粋な感情であり、それこそが「勇気づけ」なのです。
悩みを聞いてほしいときにおすすめのサービス
アドラーが提唱する、悩みの解決方法を解説しましたが、



「そんなこと言ったって無理だよ!難しいよ!」



「いまいちよく理解できない」
こう思われた方がほとんどなのではないでしょうか。
実は、もっと具体的でもっと現実的な方法があります。
それは、カウンセラーなどの専門家に相談し話を聞いてもらうことです。
お悩み解決や傾聴のプロは、人の話を聞くことにもアドバイスすることにも長けています。
そのため、こちらが伝えたいことをしっかりと理解してくれ、その上で、客観的に感じたことや具体的なアドバイスをしてくれます。
そのフィードバックによって気づきが得られたり、悩みが解消されたりするかもしれません。
一度試してみるのもいいのではないでしょうか。
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