商品や地域の分散に「時間の分散」を加えれば、効果はさらに高まります。
時間の分散とは、投資のタイミングを分けて少しずつ投資する方法です。
そして時間の分散の際に特に有効な手法が、毎回一定の金額で商品を購入する「ドルコスト平均法」です。
今回は、ドルコスト平均法の仕組みと効果について、ご説明いたします。
ドルコスト平均法とは
ドルコスト平均法は、価格が高いときに自動的に購入量が少なくなり、価格が安いときに購入量が多くなる仕組みです。
そのため、高値づかみ(高値水準のときに商品を買ってしまうこと)の損失を小さくできます。
また、商品の値動きの傾向によっては、平均購入単価を安く抑えることができ、一括投資より利益が出る場合もあります。
積立投資は、ドルコスト平均法の代表例です。
ドルコスト平均法の仕組み
ドルコスト平均法によって毎月一定額で購入した場合と、価格に関係なく毎月一定の口数で購入した場合とを比較してみました。
投資信託は購入時1口1万円から以下のグラフのような値動きをしたものとします。

毎月1万円ずつ購入(ドルコスト平均法)
1か月 | 2か月 | 3か月 | 4か月 | 5か月 | |
---|---|---|---|---|---|
購入金額 | 1万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 |
購入口数 | 1口 | 2口 | 0.625口 | 2.5口 | 0.833口 |
1口当たりの平均購入単価:7186円
毎月1口ずつ購入(定量購入)
1か月 | 2か月 | 3か月 | 4か月 | 5か月 | |
---|---|---|---|---|---|
購入金額 | 1万円 | 5000円 | 1万6000円 | 4000円 | 1万2000円 |
購入口数 | 1口 | 1口 | 1口 | 1口 | 1口 |
1口当たりの平均購入単価:9400円
値下がりでもドルコスト平均法なら利益が出る場合も
商品価格が購入時より下がれば、一括購入の運用成果は確実にマイナスとなります。
しかし、ドルコスト平均法ならば、購入時より価格が下がっても運用成果がプラスになる場合もあります。
- 元本5万円
- 購入時1口1万円の投資信託を5か月間運用
- 積立投資は毎月1万円ずつ購入
- 投資信託の値動きは以下のグラフのようなものとする

積立投資(ドルコスト平均法)の運用成果(毎月1万円ずつ購入)
運用成果 = 11.25口 × 8000円 =9万円 ➡︎ 元本5万円で4万円の利益
一括投資の運用成果(一度に5万円分 = 5口を購入)
運用成果 = 5口 × 8000円 = 4万円 ➡︎ 元本5万円で1万円の損失
「感情」を排除できることもメリット
買った商品の価格が下落すると、「もっと価格が下がってしまうかも」と不安に駆られて安値で手放してしまう人もいます。
実は投資の大敵は、こうした人間の「感情」。
ドルコスト平均法なら、毎月一定額を自動的に投資することになるので、不安や欲といった感情に左右されて損失を出す心配がなく、安定した投資を続けられます。
複利運用でリターンを最大化できる!
積立投資はドルコスト平均法によるリスク低減の効果が大きいですが、分配金を引き出さずに元本に組み入れて複利運用すれば、より大きな利益を狙うこともできます。
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